レバレッジ取引やFXを調べていると「レバレッジ1倍」という表現を見ることがあります。
レバレッジ取引にも関わらずあえて「倍率を1倍」とすることについて、レバレッジ取引の意味がないと思う方もいるのではないでしょうか。
しかし、実はレバレッジを1倍にして行う取引はメリットが多く、リスクも低く抑えることが可能なのです。
レバレッジとは
レバレッジとは、少ない証拠金で大きな金額を動かせる仕組みのことです。
預けた証拠金の数十倍の資金を動かして取引ができるので、レバレッジが高い会社を選ぶのがポイント。
国内FXは金融庁の制限で25倍にされていますが、海外FX業者なら規制を受けないため、100倍以上のレバレッジを使うことができます。
出典:海外FXレバレッジ
レバレッジ1倍とは
レバレッジ1倍での取引について、現物取引や外貨預金と比較してみましょう。
現物取引との違い
レバレッジ1倍の取引と現物取引の違いについて解説します。
売りから入ることができる
株式や暗号資産ほか、各種投資商品で行われる現物取引との最大の違いは「売りから入ることができる」という点です。
レバレッジ倍率が1倍であってもレバレッジ取引である以上、売りポジションからエントリーすることができます。
ロスカット、追証がある
レバレッジ取引なので、ロスカットや追加証拠金(追証)のルールが適用されます。
現物取引ではたとえ価格が下落しても含み益にしかならず、損切りのタイミングは自分で決められます。
最悪、価格が10分の1になったとしても、その後反発して元の価格以上になれば利益がでます。
しかしレバレッジ取引ではロスカットラインに到達すれば追証を求められますし、ロスカットラインに到達すれば強制的に損失が確定してしまいます。
外貨預金との違い
FXのレバレッジ1倍と外貨預金の違いについて解説します。
スワップポイントが発生する
FXや暗号資産レバレッジ取引にはスワップポイントがあります。外貨預金には金利は発生しますが金利差によるスワップポイントは発生しません。
スワップポイントとは、取引商品の金利差を埋めるための調整金のようなもの。法定通貨にはそれぞれの国で定められた金利があり、その金利差をFX事業者がスワップポイントとして利用者に支払いもしくは利用者から徴収しています。
例えば以下の例を見てみましょう
アメリカドル(金利 0.25%)
日本(金利 -0.10%)
上記の金利差のときに、USD/JPYペアでアメリカドルの買いポジションを保有していた場合、金利差の0.35%分がスワップポイントになります。
スワップポイントは基本的に毎日発生するので、金利が高い国の法定通貨で買いポジションを保有しているだけで毎日付与されます。
確定申告が必要
外貨預金では基本的に確定申告の必要はありません。しかしFXでのレバレッジ取引で利益を得た場合は、確定申告の対象になります。
これは税金の課税方法が異なるためで、外貨預金の利息分は源泉分離課税となるため確定申告は必要ありません。いっぽう、レバレッジ取引の利益は申告分離課税の対象になるため、確定申告が必要になります。
レバレッジ1倍のメリット
レバレッジを1倍にすることで、リスクを低く抑えながらもレバレッジ取引のメリットを享受できます。
下落相場でも利益が出せる
現物取引との違いで紹介した通り、レバレッジ1倍でも売りから入ることができます。
下げ相場でも上げ相場でも利益を出すことができるので、単純に考えても利益を出せるタイミングが2倍になります。
マイナスを抱えるリスクが低い
レバレッジ倍率を1倍にすると、レバレッジ取引最大のリスクでもある「マイナス残高」のリスクがほぼなくなります。
レバレッジ取引である以上、ロスカットによって強制的に損失が確定することはあります。しかし強制ロスカットは証拠金維持率がゼロになる前に執行されるので、元手以上の損失になってしまう可能性は非常に低いです。
証拠金維持率やロスカットなどの計算も高いレバレッジをかけたときよりシンプルなので、資産管理もしやすいでしょう。
預金より高い年利で運用できる
外貨預金との違いで述べた通り、レバレッジ取引ではスワップポジションが発生します。
このスワップポジションはFX業者や暗号資産取引業者によって設定が異なりますが、外貨預金金利よりも高く設定されていることが一般的です。
例えば以下のケースを見てみましょう
米ドル外貨預金利率(年利) 0.10%
USD/JPYのスワップポイント 10円/日
1ドル=116円
10,000ドルを外貨預金で預けた場合の金利は、年間で1,160円です。
対してレバレッジ1倍で買いポジションを1年間保有した場合のスワップポイントは3,650円で、預金の利子よりも2,490円多くなります。
スワップポイントはポジションを持っているだけで毎日付与されるので、外貨預金よりもかなり効率よく稼げるでしょう。
サービス破綻時も資産が保護される
金融機関が破綻した場合、現在の法律では外貨預金に対する保護はありません。金融機関の余力に応じて返還がされますが、金融機関の負債状況によっては返還額が一部減額されることもあります。
いっぽうFXでは金融商品取引法により利用者の資産保護が義務付けられており、金融機関が破綻しても利用者の資産は全額返還されます。
レバレッジ1倍のデメリット
レバレッジを1倍にすることによるデメリットは非常に少ないです。
現物取引同等の元手が必要
証拠金と同じ額の取引しかできないので、当然証拠金分の元手が必要になります。
レバレッジ取引は「少ない元手で大きな取引を行える」という魅力がありますが、その恩恵がないのはデメリットといえるでしょう。
1倍でも油断すると危険
高いレバレッジ倍率をかけるよりはリスクは低いものの、リスクゼロではありません。
レバレッジ1倍だから危ないというよりは、1倍という低レバレッジに油断していると危険になるということです。
相場によってはスワップポイントで減っていく
相場によっては、スワップポジションを支払わなければならないこともあります。
ポジションを持った時は受け取る側でも、相場変動があれば逆転します。知らない間に残高が減っていたということのないよう、価格チェックは怠らないようにしましょう。
ロスカットされる
「レバレッジ1倍はロスカットされない」もしくは「可能性が低い」と買いてあるブログなどもありますが、そんなことはありません。
国内のFX業者は海外の業者に比べてロスカットラインが高めに設定されている場合が多く、また、暗号資産やポンド/円などボラティリティの大きい商品や銘柄では容易にロスカットラインを割り込みます。
マイナス残高になるリスクは低いですが、ロスカットが発生すれば損失が確定します。決して油断することなく取引をしましょう。
まとめ
レバレッジ倍率1倍のメリットやデメリットについて解説しました。
売りから入れるので利益を上げやすい
マイナスになるリスクが非常に低い
スワップポイントで預金よりも高い収入が見込める
リスクを抑えてレバレッジ取引ができるのでメリットは多いのですが、油断していると思わぬ損失を被ります。
価格のチェックを怠ることなく、レバレッジ1倍を活用していきましょう。